コーヒーの焙煎度合(L値・アグトロン値)
焙煎度合いは、焙煎時間と焙煎終了時の温度、焙煎後の冷却時間などによって変わってきます。焙煎度合いによって味が大きく変わり、とくに酸味と苦味に大きく影響します。
しかし、コーヒーの焙煎度合いの区分は曖昧で、私たちも戸惑います。全日本コーヒー協会の検定本では次のように定めらています。大きく、浅煎、中煎、深煎と3段階に分かれており、さらに8つに区分されています。
煎り具合 | ロースト名 | 参考L値 |
浅煎 | ライトロースト Light | 27.0以上 |
浅煎 | シナモンロースト Cinnamon | 25.0以上 27.0未満 |
中煎 | ミディアムロースト Medium | 22.5以上 25.0未満 |
中煎 | ハイロースト High | 20.5以上 22.5未満 |
中煎 | シティロースト City | 18.5以上 20.5未満 |
深煎 | フルシティロースト Full City | 16.5以上 18.5未満 |
深煎 | フレンチロースト French | 15.0以上 16.5未満 |
深煎 | イタリアンロースト Italian | 15.0未満 |
L値というのは、国際照明委員会によって定められたLabという規格のうち、明るさを表す”L”の値のことで、この明るさの値をもってコーヒーの焙煎度合いを数値化しています。
しかし、L,a,bのうち色相を表す、”a”と”b”の値によっても焙煎度合いは変わってしまうので、あくまでも参考数値として考えた方がよいと思います。(教本でも参考L値と表現しています)
下の色は同じL値ですが、色相の”a”の値が違うことで色が変わってくる例です。もちろん実際の色はモニターによって違います。
L値=20 a=10,b=15 | L値=20 a=5,b=15 |
アメリカでは、Agtron社が開発した食品用(特にコーヒー豆)の焙煎度合いを測定する値が使用されており、その値はAgtron numberと呼ばれています。アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCA)もその数値を採用して焙煎度合いを決めています。
当店では、焙煎の都度その数値計測して品質管理を行っていますが、計測する機械は、Agtron numberと同じ数値を計測することのできる Lighttells社の製品を使用しています。
Lighttellsによる焙煎度合いの目安は次のようになっています。(Lighttellsで計測するとロースト名と、アグトロン値が表示されます)
ロースト名 | アグトロン Agtron number | 当店での焙煎終了時の状況 |
ライトロースト Light | 91≦ | |
シナモンロースト Cinnamon | 81≦ and ≦ 90 | 1ハゼ中 |
ミディアムロースト Medium | 71≦ and ≦ 80 | 1ハゼ終盤 |
ハイロースト High | 61≦ and ≦ 70 | 2ハゼ始まるまで |
シティロースト City | 51≦ and ≦ 60 | 2ハゼ序盤 |
フルシティロースト Full City | 41≦ and ≦ 50 | 2ハゼ中 |
フレンチロースト French | 31≦ and ≦ 40 | 2ハゼ終盤 |
イタリアンロースト Italian | ≦30 |
このように決めていますが、やはり浅煎、中煎、深煎でさえお客様にも分かりづらいと思います。
インターネットでは情報は手に入りますが、色の状況はパソコンなどの画面では均一ではないので難しく、言葉でお伝えするとしたら、概ねこのように認識していただければと概ね間違いはないのではないかと思います。ただし、コーヒー豆の産地や品種によって酸味の強いものや弱いもの、味わいも変わってきます。
煎り具合 | ロースト名 | 味わいなど |
浅煎 | ライトロースト Light | ほとんど流通していない。苦味はなく、酸味は弱め。 青臭みを感じるか、ピーナッツの風味。 |
浅煎 | シナモンロースト Cinnamon | 酸味があり、苦味はほとんど感じられない。 |
中煎 | ミディアムロースト Medium | 酸味があり、苦味が少し感じられる。 |
中煎 | ハイロースト High | 酸味と苦味を感じるが酸味のほうが強め。 (酸味に敏感な方、苦味に敏感な方がいらっしゃいます) |
中煎 | シティロースト City | 酸味と苦味を感じる。 (酸味に敏感な方、苦味に敏感な方がいらっしゃいます) |
深煎 | フルシティロースト Full City | 苦味が強めで、酸味も感じることもがある。 (酸味に敏感な方、苦味に敏感な方がいらっしゃいます) |
深煎 | フレンチロースト French | 苦味が強く、酸味はほとんど感じられない。 |
深煎 | イタリアンロースト Italian | スモーク臭がすることが多い |
最後にもう一つ、アグトロン値はコーヒー豆の状態と、粉に挽いてから計る場合とあり、それぞれ数値は変わってきます。一般的に浅煎りの場合その差は大きくなり(浅煎りであればagtron値で20前後)、深煎りになるほど差は少なくなっていきます。
また、コーヒー豆を測る場合は、コーヒー豆のセンターカット部分の有無によって値が変わるので、何度か計測し平均値を取るほうがよいと思います。(当店では3回の平均を記録しています)
そして、残念ながらコーヒーの味を確認するのは焙煎度合いだけでは分かりません。コーヒー豆を知らないお店で買う場合は、できれば試飲してから。もし通販などで買う場合は少量から購入されることをお勧めします。
投稿者プロフィール
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愛知県瀬戸市で、コーヒー豆販売の専門店Coffee SAKURAを2001年に創業し、代表をしています。
エチオピア、グアテマラ、ブラジル、インドネシアなどのコーヒー生産地へ赴いたり、各地でコーヒーセミナーを100回以上を開催しながら、普段は店舗にてコーヒー豆の販売や道具の使い方、コーヒーの入れ方、選び方をアドバイスさせていただいています。
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