エチオピアを訪問してきました
2022年12月、コーヒーの生産地エチオピアを訪問することができました。アフリカ北東部にある国エチオピアのコーヒーは、モカの生産地として知られています。
コーヒー発祥の地で16世紀ごろまでは、この地域でのみコーヒーが栽培されていました。昔からコーヒーを飲む文化のあるエチオピアでは、現在も生産量の半数が自国で消費されています。
ブラジルやインドネシアなど、コーヒー生産国のほとんどは過去に植民地で奴隷制度のもとに栽培されていた経緯がありますが、このエチオピアは独立国家を保ってきました。
日本も江戸時代末期にヨーロッパ諸国の圧力に立ち向かい独立を保ったので、エチオピアの憲法は大日本帝国憲法を参考に作られた経緯があります。
植民地となっていないにも関わらず、年間の一人当たりのGDPは10~20万。(それでも過去20年ほどで10倍近く増加しています)いったいどんな国で、そこに暮らす人々はどんな暮らしをしているのだろうと、コーヒー生産国の中で一番興味があり行ってみたい国でした。
日本から非常に遠く、さらに空港から生産地域までが遠いこと、言葉の壁や治安の問題などがあり、なかなか訪問するチャンスがありませんでしたが、いろいろな方々のお陰でようやく訪問できました。
暑そうなイメージがありますが、首都のアジスアベバは標高2000m以上あり夜になると少し寒いくらいです。日中も日陰にいれば暑くありません。地球の割れ目「大地溝帯」が国を縦断しており、そこには多くの湖があって水不足に困ることはありません。
首都では多くのビルが立ち並んでいますが、マクドナルドやスターバックス、ユニクロなどの外資系企業は見かけませんでした。
コーヒー栽培地域の暮らし
訪問するコーヒー生産地は首都から車で移動して6時間ほど。首都から少し離れると、土壁と藁葺屋根の民家と草原の景色に変わります。高圧線は見かけませんでしたが細い電線はところどころ整備されていました。
農村部の各家庭での調理は、今も薪で行われているようでした。
家畜として多くのヤギやロバ、牛、馬、ラクダが飼われており、ロバは荷物の運搬に大活躍。道路の脇を一列にならんで、おとなしく重い荷物を運んでいる光景を何度も見かけました。
首都に暮らす人々は日本と変わらず慌ただしさを感じましたが、田舎の人たちはとても優しい目をしており、のんびりと暮らす人々の光景が印象に残っています。とくに子供たちの目は純粋に感じました。
ところどころ商店もありますが、目立った看板などはなく一生懸命に商売をして稼ごうという雰囲気はありません。
働いてたりぼーっとしてたり。働く概念が違っているのか、一生懸命穴掘りの仕事をしてる人もいれば、その隣でぼーっとしてたり、子供がロバで荷物を運んでたりする光景を何度もみました。家事と仕事の境がない印象です。
珍しい人(私たち)がくると、野次馬のように集まってきます。
みんな姿勢が良く、肥満の人もほとんどいません。栄養失調のような人も見かけませんでした。
気候はよく、エアコンは年中必要ありません。泊まったホテルにもエアコンらしきものはありませんでしたが快適に過ごせました。
一年中気候がよく、寒い冬に備えるといった文化は必要ないだろうと思いました。多くの民家は土壁と藁葺屋根で、途中地域の人たちと思われる人たちが家を作っている光景をみかけました。
もちろん衣服や靴は必要で、携帯電話を多くの人が持っています。田舎には病院はほとんどありませんが、病気になるような原因もなさそうな気もします。
そんな光景を10日間見続け、ここにそれほど貨幣の必要はなく、それで十分暮らしていけるのではないのではと感じました。欲深くなく、持っているものは本当に必要なものだけ。それで幸せに暮らしていると感じました。
コーヒーの栽培
多くのコーヒー栽培地域がありますが、今回はシダマ(旧名称シダモ)とイルガチェッフェを訪問しました。実はグジという地域も訪問する予定でしたが治安の影響で急遽中止しました。
コーヒーの栽培は農園というよりも、コーヒー畑が点在しているイメージです。多くが各家庭の畑でコーヒーを栽培しており、まれに大きな農園で組織的に経営している農家もあります。
訪問した農園は100年に開墾され、20ha(正方形で例えると450m四方の面積)の敷地があります。肥料といえば草刈りをした草を撒く程度で、農薬も使用していませんでした。それでいて害虫の被害はほとんどなく、昔から自然に任せて栽培しています。
農園ではコーヒーチェリーの収穫だけでなく、土の整備や種を植えたり、苗の手入れなどの仕事があります。特に苗の手入れは毎日の草取りや1日2回の水やりなど多くの作業があるため常時25名を雇用していました。
収穫された赤いコーヒーの実は、収穫したその日のうちに各地に点在しているコーヒー豆の精選所に運ばれ、選別し乾燥されます。
赤い果肉を機械で取り除き、中から種を取り出します。未熟な種は水に浮き、沈んだものを集めます。36時間ほどかけて種にある「ぬめり」を取り除いてから、アフリカンベッドと呼ばれる棚で2週間近く乾燥させます。
他に、果肉を付けたまま3週間ほど乾燥させる「ナチュラル」という方法もなされています。
乾燥させている間、手作業で欠点豆を取り除き、作業が終わるころには夜露が付かないよう毎日全てビニールシートを被せています。
乾燥し終えたコーヒー豆には、パーチメントと呼ばれる殻が付いており、ナチュラルの場合は乾燥したままの果肉も付いています。出荷する場合は、それらを取り除きます。
最終的にアジズアベバへ輸送され、不純物の除去、サイズ分け、欠点豆が取り除かれ輸出されます。
以前は、多くが手作業で行われていましたが訪問した工場では、全てオートメーション化されていました。
動画でたくさんの写真と映像をお伝えしてます
今回エチオピアを訪問し、1500枚以上の写真と動画を撮ってきました。
なかなかうまくまとめることは難しいですが、とりあえずエチオピアについてどんな国なのかをまとめてみましたので、よろしければご覧ください。後ほど、コーヒー農園についても動画を作成する予定です。
投稿者プロフィール
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愛知県瀬戸市で、コーヒー豆販売の専門店Coffee SAKURAを2001年に創業し、代表をしています。
エチオピア、グアテマラ、ブラジル、インドネシアなどのコーヒー生産地へ赴いたり、各地でコーヒーセミナーを100回以上を開催しながら、普段は店舗にてコーヒー豆の販売や道具の使い方、コーヒーの入れ方、選び方をアドバイスさせていただいています。
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