サウジアラビアに古くからあるカフェ「マジリス」

先日マジリスを体験してきました。日本語でマジュリスと記載することもあるようです。

聞きなれない言葉ですが、サウジアラビアのコーヒーを飲む場所で、私も今年初めて知りました。

そもそもサウジアラビアのコーヒーは、大変独特な味わいで非常に古い歴史があります。ところが、その文化は世界に広まることがなく私自身も知る機会がありませんでした。

近年になってサウジアラビアの国際交流が活発になり、2022年にサウジコーヒー協会が発足。サウジアラビアでコーヒーフェスが開かれるなど、サウジアラビアのコーヒーの存在が目立つようになってきました。

さらに、今年の大阪万博のサウジアラビア館ではサウジコーヒーを飲めるとのことで、私自身大変興味がありましたが、混む場所は苦手なので行くことがなく、いつか体験したいと思っていたところ、東京で行われたコーヒー展示会にて体験できました。

今回はサウジアラビア政府の要請でブースの出展がなされたようです。日本語を話すことのできるサウジアラビア人にいろいろなことをお尋ねしました。

私がマジリスを知っていたので驚かれましたが、マジリスは場所。アジリスは座るという意味とのことでした。

古くからサウジアラビアにある文化で、最近はカフェの登場で市街地にはなくなりつつあるようですが、田舎に行けば今もあるとのことです。

そこでは、サウジ式のコーヒーが無料でコーヒーが振舞われ、食事も無料。扉が開いていれば誰でも、おもてなしを受けることができるとのことです。

部屋にはテーブルと座布団のようなものがあり、あぐらをかいて座ります。コーヒー豆の焙煎スペースが設置してあるマジリスもあり、客人をもてなします。

マジリスには右から入るという作法があり、カップは必ず右手だけで持つ。コーヒーは小さなカップに3分目ほど入れられ3口で飲み干し、飲み終えたらお代わりが必要かを亭主に聞かれます。必要がなければ、カップを左右に振ることで十分いただいたという合図。コーヒーを飲む前に、テーブルに置かれた甘い食べ物「デーツ」をいただきます。

日本の茶道の作法にも共通する部分を感じました。

コーヒーは、私たちが普段飲む味とは全く違い、スパイスの効いたエキゾチックな風味でさっぱりした飲み物でした。

コーヒーは鍋で浅く焙煎し、カルダモンやサフランを混ぜて臼(アル・ナジャル)で細かく潰したものを沸騰したお湯に入れ弱火で20分ほど煮ます。その後、アル・ダラッというコーヒーポットに入れておき、カップに注いでお客様に手渡しします。

カップはフィンジャル(アル・フィンジャル)と呼ばれます。私たちが使うコーヒーカップの半分ほどの容量で「お猪口」ぐらいのサイズです。この形状のカップはエチオピアを訪問したときもよく使われており、トルコではフィンジャンと呼ばれ取っ手がついたものが使われています。

そもそも、ヨーロッパにコーヒーが伝わる前からサウジアラビアやイエメン、シリア、トルコなどでコーヒーが飲まれていたので、フィンジャルが西洋でコーヒーカップと呼ばれるようになったという表現が正しいのかもしれません。

ちなみに、サウジアラビア南部のイエメン国境付近はコーヒーの産地となっており、今後は生産拡大を計画しているようです。

投稿者プロフィール

大西 文明
大西 文明
愛知県瀬戸市で、コーヒー豆販売の専門店Coffee SAKURAを2001年に創業し、代表をしています。
エチオピア、グアテマラ、ブラジル、インドネシアなどのコーヒー生産地へ赴いたり、各地でコーヒーセミナーを100回以上開催しながら、普段は店舗にてコーヒー豆の販売や道具の使い方、コーヒーの入れ方、選び方をアドバイスさせていただいています。

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