コーヒーの2050年問題の問題｜もとになった論文もご紹介

コーヒーの2050年問題が波紋を広げているように思います。私自身も内容については曖昧な知識しかなかったのですが、本日、日本サステイナブルコーヒー協会で『コーヒーの2050年問題』に関するセミナーがあり参加させていただきました。

コーヒーの2050年問題に関する論文はいくつかありますが、World Coffee Researchが取り上げている論文は、2015年にPLOS ONE誌に掲載された研究結果（査読済み論文）です。この論文はWorld Coffee Researchが資金を提供し作成されています。（他の論文をもと発信している情報もあります）

それによると、アラビカ種コーヒーの生産に適している土地の50％ほどが2050年までに適さなくなるというものです。その根拠となるデーターは論文が発表される前のデータを基にしており、気温や降水量を推計しています。ここで問題となると思うのは、セミナーでも話されていたことでコーヒーの栽培方法も変わっていくということ。暑くなれば当然シェードツリーなどの日陰をつくるような工夫をしますし、30年以上あれば品種改良をすることもできる。なぜか、アラビカ種の生産量が半減してしまうというような誤解が広まってしまっているということでした。

私自身思ったことは、栽培に適している土地が50％減ったとしても、栽培に適した土地全てにコーヒーが植えられているわけではないこと。ただ、栽培適地における栽培地の割合が分からないので、なんともいえませんが、間違いなく100％ではないはずです。このあたりは、いずれ調べてみようと思います。

また、過去のデータをもとに論文が発表され10年経過しておりますが、その後の論文の検証もなされていないようです。

確かに、コーヒー生産地で気候変動が原因と思われる被害があるのでは事実ではあるものの、2050年にアラビカ種コーヒーの栽培地域や生産量が半減するという論文ではないということがよく分かりました。

イントロダクションの抜粋

気候変動の地球規模への影響に関する研究では、アラビカコーヒー栽培に適した地域は2050年までに50%減少すると予測されており、その主な原因は気温の上昇である。最近の研究※では、これらの影響は地域によって異なることが示された。

A study of the global impact of climate change predicted that the area suitable for arabica coffee will be reduced by 50% by 2050, mostly caused by higher temperatures . A more recent study showed that these impacts vary by region
※論文が発表された2015年当時
Multiclass Classification of Agro-Ecological Zones for Arabica Coffee: An Improved Understanding of the Impacts of Climate Change

PLOS ONE誌に掲載された研究：Multiclass Classification of Agro-Ecological Zones for Arabica Coffee: An Improved Understanding of the Impacts of Climate Change研究

World Coffee Research Multiclass Classification of Agro-Ecological Zones for Arabica Coffee

当時、国際熱帯農業センターなどより、10万農園の位置データベースを地理的に参照されたコーヒー農園、ほかGoogle Earthの画像などから特定した農園を赤丸で表示。3種類の茶色表示は生産者の規模。

アラビカ種の栽培適地のポイントを数値化したもの。地域によっては論文発表時から70％減少し、全体平均では49％減少。

投稿者プロフィール

大西文明

愛知県瀬戸市で、コーヒー豆販売の専門店Coffee SAKURAを2001年に創業し、代表をしています。
エチオピア、グアテマラ、ブラジル、インドネシアなどのコーヒー生産地へ赴いたり、各地でコーヒーセミナーを100回以上を開催しながら、普段は店舗にてコーヒー豆の販売や道具の使い方、コーヒーの入れ方、選び方をアドバイスさせていただいています。